風前の灯火暗くなってゆく昔は昔今も昔に
いかほどの怒りがあるか増長天踏みつけられし邪気の哀れさ
恐らくはひとかけらほど異なれば別の世界に着くのであろう
繰り返す日々の中には次の日の種になるもの飛び交っている
残り一年元号変わる時までにできることならしてしまいたい
繰り返すことを愚かと思うまで人の営み軽くなりゆく
ぼろぼろの本を広げて古の汗と涙を辿る楽しさ
立ち並ぶビルにあまたの窓ありて閉づる人あり開く人あり
着ぶくれた日々に慣れつつ歩きゆく我が道遠く続く坂道
おそらくは声にならない声を出し愛を歌っているのであろう
行動や嗜好やその他もろもろをポイントにして売り渡していく
人も物も時間の底に沈みゆくそれに逆らう営みもあり
箱庭の中で毎日過ごしゆく自分の姿ふと湧き上がる
いつまでも旅立つことはない船を見るたび思う人生は旅
どこまでも虫の音響き澄んでいく心に映る古の町
誰かには大切な場所に違いないありふれているこの駅前も
思い切り悪ぶってみる所詮ただ何をやっても私は私 敵役然として顔引きつらせ人には見透かされまい私 鏡面に映し出される姿をば自分自身と信じてはない おそらくは自分自身もわからないそれが自分の姿というもの
頼まれたカメラで若いカップルの明るい笑顔の時を写して 男には彼の思いの女には彼女の思う笑顔があるか
故郷の風の優しさ吹く風も波立てぬよう柔らかく吹く
公園の此処彼処には隠れてる思い出たちの記念碑がある 古び行く彫刻はただ立ち続け過ぎ行く人を見守るごとく 水鳥の何種類もいてそれぞれの向かうべき場所向かっていきる この場所にまた来ることはきっとある今の自分と違う自分が
ゆく人にかける言葉を探すうちにくる人のため用意が進む
しらじらしく落としどころを決めてなどのたまっている人の危うさ 思い切り悪ぶってみるそれだけが今の自分の形とあらば 横書きの青春などといいさして実はなんにも考えてない
去り際に流れるしらべ曲名を思い出せないままリフレイン
とりわけて最後の音を推し量る我が日常の隙間の闇で
新しいことを始める勇気さえ持てない時はいつもの席に この席の前に広がる光景の輝きさえも見えなくなって 知らぬうち決められている次の手もその次の手もさらに次をも 暖かいいつもの席を捨て去っていかねばならぬ時は来たりぬ
ホームでは少し迷子になってみるまもなく急行出発するが
振袖をぎこちなく着て微笑んで化粧の過ぎる教え子に会う いろいろとつらいこともあるんです。さらりと言った教え子二十歳 それだけが人生なんじゃないんだと言おうとしたが言い切れなくて 大学は面白いんですという声のあまり弾んでいない気がして
いくつもの言い訳並べ並べ替えそうしてここまでいきてきたんだ
これまでに何度の始まり迎えてもその都度震える右手左手
少年の日は遠くなり田園の向こうの道の果てに逃げ水