歌帳

日々の思いを歌にこめて

歴史というもの

人も物も時間の底に沈みゆくそれに逆らう営みもあり

 

 

 長崎の浦上天主堂被爆によって倒壊したが、いまは復興をとげている。過去の惨状を保存すべきであるとの声もあったらしいが、いまは祈りの場として整えられたものになっている。ただ、その敷地の近くには今も爆風で吹き飛んだ塔の屋根部分がそのまま置かれている。

 所詮物はいずれ消えてなくなる。人もまた限られた命の中を生きるだけだ。それに抗うように人は過去の出来事を語り継ぎ、記憶の外にでないように必死になる。長崎の被爆者の活動はそれを実感する営みだ。時空を超えた叡智が機能するのか。それは私たちが歴史という他の生物にはない考え方の存否に関わる。