歌帳

日々の思いを歌にこめて

憎しみ

憎しみのその根本を尋ねると自分に似ている何かが渦巻く

 嫌いだということを私たちは露骨に言えるようになった。しかし、それは面と向かってではなく匿名という仮面を被ってだ。でも、よく考えてみよう。私達が腹が立つものと、立たないものがある。何に腹が立つのか。それは自分と似ている何かに対してである。自分と無関係のものには私達の心は動かない。思い切り腹が立つのは相手の姿に自分の姿を見つけるからに他ならない。あることに腹が立っている人がいたら、その人に問いたい。あなたが腹を立てているのはあなた自身に対してではないかと。どうしようもならない自分の体たらくを投影しているのにすぎないのではないのかと。

 私自身もいろいろなことに腹が立つ。しばし冷静に省みるにそれは己の不甲斐なさに対する憤りのようなものだ。他人の不備に怒っているようにみえて、実は己の至らなさをさらけ出そうとしている試みなのだと。

 世に満ちるヘイトの数々に私は自傷行為に似たものを見出さざるをえない。そして、私自身にもその傾向があることをここで告白しておこう。この問題は奥深いのだ。