歌帳

日々の思いを歌にこめて

折に触れて

現在地

自らの居場所がいかなる沼沢か知らぬ子孫の哀れ人生

マスク

新しいウイルス防ぐマスクなどないとは知るもなければ惑う

トリコロール

いつまでも回り続けるトリコロール何かを変えるためのスクリュー

形にならないもの

作っては壊し続ける生業を無駄と言わずに芸術と呼ぶ

憎しみ

憎しみのその根本を尋ねると自分に似ている何かが渦巻く

船の路

繰り返す喜怒哀楽の波の上漕ぎゆく船の路の遥かに

アジテーション

武器を取れ社会に決して負けるなと言った論者の早世悼む

すみか

いつからか丘から見えぬ人たちと話せるような夢をみている 森の中すみかはおそらくまだ暗く里の騒ぎは届いていない

空の高さ

涼風の身体に浸みる朝となり旅の途中の空の高さよ

同じ舞台に

誰もかも同じ舞台に立つ役者幕が上がれば演じなければ

眺望

古も現在の暮らしも高みから見れば愛しいちさき点景

蓮の花

蓮花の咲く池端の静かさを求めてここにこの夏も来た 問うほどに沈黙の色漂わせ薄紅に蓮の花咲く

記憶

風前の灯火暗くなってゆく昔は昔今も昔に

憤怒の形

いかほどの怒りがあるか増長天踏みつけられし邪気の哀れさ

ひとかけら

恐らくはひとかけらほど異なれば別の世界に着くのであろう

繰り返す日々の中には次の日の種になるもの飛び交っている

一年

残り一年元号変わる時までにできることならしてしまいたい

抜け落ちるもの

繰り返すことを愚かと思うまで人の営み軽くなりゆく

窓の風景

立ち並ぶビルにあまたの窓ありて閉づる人あり開く人あり

坂道

着ぶくれた日々に慣れつつ歩きゆく我が道遠く続く坂道

Love Song

おそらくは声にならない声を出し愛を歌っているのであろう

ポイント

行動や嗜好やその他もろもろをポイントにして売り渡していく

歴史というもの

人も物も時間の底に沈みゆくそれに逆らう営みもあり

箱庭

箱庭の中で毎日過ごしゆく自分の姿ふと湧き上がる

虫の音

どこまでも虫の音響き澄んでいく心に映る古の町

通過駅

誰かには大切な場所に違いないありふれているこの駅前も

鏡の前で

思い切り悪ぶってみる所詮ただ何をやっても私は私 敵役然として顔引きつらせ人には見透かされまい私 鏡面に映し出される姿をば自分自身と信じてはない おそらくは自分自身もわからないそれが自分の姿というもの

ゆく人くる人

ゆく人にかける言葉を探すうちにくる人のため用意が進む

悪ぶって

しらじらしく落としどころを決めてなどのたまっている人の危うさ 思い切り悪ぶってみるそれだけが今の自分の形とあらば 横書きの青春などといいさして実はなんにも考えてない

さりぎわ

去り際に流れるしらべ曲名を思い出せないままリフレイン